大判例

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東京地方裁判所 昭和57年(ワ)6396号 判決

一 請求の原因1及び3の事実は、当事者間に争いがない。

二 いずれも成立に争いのない甲第一号証及び乙第一号証によれば、本件登録意匠の構成は、四隅にアールをとつた長方形のレザーシート様の可撓性材料二枚を内部にふくらみをもたせて縫い合わせ、表面の周縁部には糸でループによる縁飾りを設け、裏面の周縁部には表面の縁飾りを縫い着けた糸が連続的に現われる、という形状及び模様からなるものと認められ、右認定に反する証拠はない。

三 被告製品を表示するものであることについて争いのない別紙目録の写真及び被告製品であることについて争いのない検甲第一号証によれば、被告意匠の構成は、四隅にアールをとつた長方形の別珍の布地にウレタンフオームを貼りつけた厚さ約二ミリメートルのうすべり状の敷物の形状で、その周縁にパイピングを施し、かつその表面の周縁部にループによる縁飾りを設けた形状及び模様からなるものと認められ、右認定に反する証拠はない。

四 そこで、本件登録意匠と被告意匠を対比するに、両者は、その形状が四隅にアールをとつた長方形状を呈している点とその表面の周縁部にループによる縁飾りを施してある点は同一であるが、本件登録意匠では、レザーシート様の可撓性材料二枚を内部にふくらみをもたせて縫い合わせた形状であるのに対し、被告意匠は、別珍の布地にウレタンフオームを貼りつけたうすべり状のふくらみのない敷物の形状である点と、被告意匠では、周縁部にパイピングが施されているのに対し、本件登録意匠には右パイピングは施されていない点が相違している。

そして、両者に共通する部分のうち、四隅にアールをとつた長方形状の形状を有するという点は、前顕甲、乙各第一号証の参考図から明らかなように、電話機の下に敷くマツトとしての用途から、機能的に限定されるとまではいえないものの、右参考図に示された極くありふれた電話機の形状に対応した形状であつて、形としては平凡なもので、とりたてて特徴的なものとはいえず、その周囲にループによる縁飾りを施けること自体も特徴ある部分とはいい難い。

これに反して、本件登録意匠におけるレザーシート様の可撓性材料と被告意匠における別珍及びウレタンフオームのかもし出す素材の違いに基づく質感の違いは顕著であり、また、本件登録意匠がふくらみを有するのに対し、被告意匠はうすべり状を呈しており、右の点においても、両意匠には美感上、顕著な差違があるものと認められ、右各認定を左右するに足る証拠はない。

右によれば、被告意匠が本件登録意匠と比べ、素材及びふくらみの有無という形状において、顕著な差異を有し、全体としての美感を異にしていることが明らかであり、被告意匠が本件登録意匠に類似すると認めることはできない。

五 よつて、被告意匠が本件登録意匠に類似することを前提とする原告の本訴請求は、その余の点について判断するまでもなく理由がないから、これを棄却する。

〔編註その一〕 本件登録意匠に関する事項は左のとおりである。

1 原告は、昭和五四年七月一二日に訴外長崎茂佐から次の意匠権(以下、「本件意匠権」といい、その登録意匠を「本件登録意匠」という。)を譲り受け、同年八月二九日その旨の登録を経た。

出願      昭和四七年八月一五日

登録      昭和五一年九月二五日

登録番号    第四三八八二七号

意匠に係る物品 電話機マツト

登録意匠    別添意匠公報及び本件意匠登録出願の願書に添付された図面代用写真(複製)に示すとおり

2 本件登録意匠の構成は次のとおりである。

(一) 表面は(正面図)、縦長の長方形で四隅にアールがつけられており、周縁部に糸でループの連続模様を形成した縁飾りを設けている。

(二) 裏面は(背面図)、表面と同一形状であつて、周縁部に表面の縁飾りを縫い着けた糸が連続的に現われている。

(三) 横から見ると(平面図、底面図、右側面図、左側面図)、先細の棒状を呈し、上方に表面部が下方に裏面部が見え、上方寄りに縁飾りが線状に現われている。

3 被告は、別紙目録写真表示の電話機マツト(以下「被造製品」といい、その意匠を「被告意匠」という。)を、業として製造、販売している。

〔編註その二〕 本件に関する意匠は左のとおりである。

目録

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本件意匠 四三八八二七  出願昭四七、八、一五意願昭四七―三五九五八登録昭五一、九、二五

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